心臓リハビリテーション指導士認定制度委員会

■第15回日本心臓リハビリテーション学会認定・心臓リハビリテーション指導士講習会および認定試験は、第20回日本心臓リハビリテーション学会学術集会時の平成26年7月21（月）に京都みやこめっせで行われました。

受験応募者は735名で、会員期間2年未満等のものを除いた596名の申請書類を審査し、症例記載不適切、会費未納、辞退を除いた594名を受験許可とし、593名が受験しました。

受験者の職種の内訳は、医師109名、看護師95名、理学療法士342名、作業療法士11名、健康運動指導士20名、臨床検査技師14名、管理栄養士2名でした。

筆記試験は、50問／60分の設問に対し、五者択一、一部2問選択のマークシート方式で行いました。得点分布は平均点66.1±12.5点(mean±SD)（分布30点～94点）、合格率は71.7％でした。これは、昨年並みの結果でした。今回の受験合格者は425名となりました。

■職種別合格率

合格率には職種により差がみられます。心臓リハビリテーションは単なる離床プログラムではなく、運動と生活習慣の改善という手段を使って行う心疾患治療手技です。いくつもの大規模な研究で、安定狭心症の70%ではしっかりと内科的治療を行えばカテーテル治療は行わなくて済むとのデータが出されています。また、心不全患者の全身状態に介入して予後を改善させるのは心臓リハビリテーションです。ということは、左前下行枝に残存狭窄を有する患者や、BNPが1000pg/mL以上の患者が目の前に出現するということです。このような時に、心臓リハビリテーション指導士は正しい知識のもと、適確な運動と教育を実践しなければなりません。自信を持って患者に接し、望ましい結果を残してこそ、他のスタッフからの信頼を勝ち取ることができます。
そのため、心臓リハビリテーション指導士の試験には、運動の仕方、運動器の評価のみならず、心臓の解剖、生化学、生理学、各種検査の読み方、薬物療法など、循環器医の試験に準ずるような内容も含まれます。さらに、栄養学や心理など、循環器医があまり勉強しない分野も出題されます。その結果、心臓リハビリテーション指導士は、心疾患の非侵襲的治療の分野においては、循環器医以上の実力を有することになります。
心臓リハビリテーション指導士のハードルは低くありません。しかし、以上のことを理解して、心臓リハビリテーション必携をはじめとする書籍を読み込み、実際の現場で患者の検査結果を自分で評価し、多くの講習会・研究会に参加し、知識と経験値を挙げてください。それが合格への最高の道です。
最後に、めでたく合格した受験者の皆様、おめでとうございます。でも、これはゴールではなくスタートです。今は、ただ、「指導士」という肩書を手に入れ、患者から少し信頼されるようになっただけです。これから、さらに経験と研鑽を積み、患者の症状を治し、予後を改善させられるようになってこそ本当の指導士です。頑張りましょう。

認定証は9月以降送付予定ですのでお待ちください。認定期間は平成26（2014）年9月1日～平成31（2019）年8月31日です。資格維持のためには会員を継続することと、5年間に50単位の更新単位を取得することが必要です。また連絡先や所属が変更になった場合は、すみやかに事務局にご連絡ください。更新のお知らせ等の重要な情報が届かなくなる可能性があります。